はじめに
2024年6月、沖縄県浦添市内間に新しい沖縄そば店「田多そば」がオープンしました。名護市で人気のヤカンで出汁を注ぐスタイルをインスパイアしたというこのお店、オープン間もない6月12日に実際に訪問してきましたので、詳しくレポートいたします。
なお、今回の訪問の様子はYouTubeでも動画として詳しく紹介していますので、実際のヤカンで出汁を注ぐシーンや店内の雰囲気なども合わせてご覧いただけます。
アクセス・立地について
田多そばは浦添市内間の住宅街に位置しており、正直なところアクセスは決して良いとは言えません。内間西公園からは車で数分の距離にありますが、住宅街の奥まった場所にあるため、初回訪問時はGoogleマップなしには辿り着くのが困難でしょう。

目印は「儀保空手道場」で、そこから一筋入ったところにあります。メイン通りから少し入った場所のため、地元の方でも知らない人が多いのではないでしょうか。この立地の分かりにくさは、今後の集客において課題になる可能性があります。
駐車場事情
駐車場は店舗前に2台、少し離れた月極駐車場に1台程度確保されています。合計3台程度の駐車が可能ですが、お店が話題になり人気が出れば、すぐに満車になってしまう台数です。住宅街の中という立地上、路上駐車は近隣住民に迷惑をかけるため避けるべきでしょう。
平日の昼過ぎに訪問した際は問題なく駐車できましたが、土日や食事時間帯は混雑が予想されます。
店舗外観・設備
店舗外観は一般的な沖縄そば店といった感じで、のぼりが立っています。注目すべきは、最近の個人店では珍しくキャッシュレス決済に対応している点です。現金を持ち歩かない世代にとっては嬉しいポイントでしょう。
店前には猫がいて、なんとも沖縄らしい雰囲気を演出していました。
店内の様子
店内に入ると、思っていたより広々とした空間が広がっています。席構成は以下の通りです:
- カウンター席:約5席
- テーブル席:2人掛けが2卓
- 座敷:4人掛けが2席、2人掛けが2席
小さなお店を想像していましたが、実際は20名程度は収容できそうな規模で、ファミリー層でも利用しやすい作りになっています。座敷があるのは小さなお子様連れには特に嬉しいポイントです。
混雑時は受付表もあるようで、人気店になれば待ち時間が発生する可能性もあります。
メニュー・価格設定
メニューは以下の通りです(税込価格):
単品メニュー
- 素そば:中550円、大650円
- 三枚肉そば:中850円、大950円
- 本ソーキそば:中950円、大1050円
- ミックスそば:中1050円、大1150円
セットメニュー 上記各メニューに小鉢2個(モズクとジューシー)が付いて+300円 (大サイズは+100円で変更可能)
その他
- ジューシー単品:200円
価格設定については、正直なところ昨今の沖縄そば相場を反映した「決して安くはない」レベルです。三枚肉そば大で950円というのは、気軽にランチで利用するには少し躊躇してしまう価格帯かもしれません。
特にミックスそば大が1150円というのは、沖縄そばとしてはかなり高価格帯に入ります。材料費高騰の影響とはいえ、庶民の味として親しまれてきた沖縄そばが、どんどん気軽に食べられない価格になっているのは少し寂しい気もします。
実食レポート
今回は三枚肉そば大(950円)を注文しました。本来はセットでお願いしたかったのですが、訪問した時間が遅かったためジューシーが売り切れており、単品での注文となりました。
ヤカンで出汁を注ぐパフォーマンス
田多そばの最大の特徴である「ヤカンで出汁を注ぐ」スタイルを実際に体験しました。テーブルに運ばれてきた丼には麺と具材が入っており、目の前でヤカンから熱々の出汁がなみなみと注がれます。

このスタイルの理由は「麺が伸びないため」とのことで、確かに理にかなっています。特に平麺は表面積が広いため水分を吸収しやすく、時間が経つと伸びやすいという特性があります。提供から食べ始めまでのタイムラグを考慮したこのスタイルは、最後まで美味しい麺を楽しめる工夫と言えるでしょう。
出汁の味わい
出汁はあっさり系のカツオベースです。よくあるカツオ節の香りが強く立つタイプではなく、上品で飲みやすい仕上がりになっています。しっかりとした出汁の味わいを感じられる一方で、重くなく最後まで飽きずに飲み干せる絶妙なバランスです。
沖縄そばの出汁は店によって個性が大きく分かれますが、田多そばの出汁は万人受けしそうな味わいだと感じました。
麺について
麺は平麺を使用しています。平麺の沖縄そばは最近あまり見かけないため、懐かしさを感じる方も多いでしょう。出汁との絡みが良く、面積が広い分、出汁の味をしっかりと感じることができます。
ヤカンで注ぐスタイルのおかげで、最後まで麺の食感を楽しむことができました。
三枚肉について
三枚肉は丁寧に煮込まれており、とろりととろける食感に仕上がっています。味付けはほんのり甘めで、あっさりとした出汁との相性が良く考えられています。
量的にも満足できるサイズで、肉の質も良好でした。
薬味・調味料
テーブルには以下の薬味が用意されています:
- コーレーグース(島唐辛子泡盛漬け)
- 七味(または一味)
- 紅しょうが
特筆すべきは、コーレーグースの容器に「田多そば」のロゴが入っていることです。こういった細かいブランディングは、お店への愛着を感じさせる良い取り組みだと思います。
ただし、コーレーグースは辛みが強めなので、辛いものが苦手な方は少量ずつ試すことをお勧めします。
気になった点(辛口評価)
価格設定について
前述の通り、価格設定は昨今の相場とはいえ決して安くはありません。特にミックスそばの1150円は、コストパフォーマンスを重視する客層には厳しい価格設定かもしれません。
品切れ問題
15時頃の訪問でジューシーが売り切れていたのは残念でした。オープン間もないとはいえ、主要サイドメニューの在庫管理は改善の余地があるでしょう。
立地の分かりにくさ
住宅街の奥まった立地は、新規客の獲得において大きなハードルになりそうです。特に観光客には敷居が高い立地と言えるでしょう。
駐車場の狭さ
3台程度の駐車場は、人気が出れば明らかに不足します。拡張の検討が必要かもしれません。
評価できるポイント
ユニークなスタイル
ヤカンで出汁を注ぐスタイルは話題性があり、SNS映えも期待できます。実用性も兼ね備えており、良いアイデアだと思います。
出汁のクオリティ
あっさりながらしっかりとした出汁は、多くの人に愛される味わいです。
店内の快適性
思ったより広い店内と、多様な席タイプは利用客の満足度を高めています。
現代的な設備
キャッシュレス決済対応など、時代に合わせた設備は評価できます。
細かいブランディング
コーレーグース容器のロゴなど、細かい部分へのこだわりが感じられます。
今後への期待
オープン間もないお店として、今後の改善・発展に期待したい点があります:
- 品切れ対策:人気メニューの在庫管理改善
- 価格設定の見直し:リピーター獲得のための価格戦略
- 駐車場問題の解決:近隣での駐車場確保検討
- メニューの充実:サイドメニューやデザートの追加
まとめ
田多そばは、ユニークなスタイルと丁寧に作られた出汁で、沖縄そば激戦区に新しい選択肢を提供してくれるお店です。価格設定や立地などの課題はありますが、オープン間もないお店としての今後の成長に期待が持てます。
特にあっさり系の沖縄そばが好きな方、新しいスタイルの沖縄そばを体験してみたい方には、一度は訪れてみる価値があるお店だと思います。
名護の本家に行くのが難しい中部在住の方にとっては、ヤカンスタイルの沖縄そばを身近で体験できる貴重なお店と言えるでしょう。今後のメニュー展開やサービス向上にも期待しながら、再訪してみたいと思います。